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新企画始動! 貴水博之×ats-,清水武仁&渡辺徹 Feat.AXL21座談会 第六回

2018.07.19
仮面ライダー



次世代ユニットX21から選抜されボーカルを務めたAXL21と、ats-、清水武仁、渡辺徹の“スーパークリエイター”3人が手掛ける『仮面ライダービルド』の挿入歌。
その裏側に迫るavex management web(以下 AMG Web)での週刊連載だが、この度、新たな座談会企画がスタート。ゲストに迎えるのは、『仮面ライダーエグゼイド』で、仮面ライダークロノス/檀正宗役を演じ、歌手&俳優としても活躍するaccessの貴水博之!

前回に引き続き、第6回では『仮面ライダービルド』の挿入歌「Evolution」について取り上げたいと思う。特に今回は、田中&末永のボーカルについて、貴水の視点を交えつつ、レコーディングでの拘りやポイントを披露してもらった。

テキスト:トヨタトモヒサ
写真:阿部薫

●自分を削って歌った「Evolution」
ーー前回の座談会で、AXL21のボーカルについて、「思わず付いて行きたくなるくらい」と評されていましたが。 
貴水:いや、そもそも僕らの若い頃は、女のコが力強いメッセージソングを歌う傾向にはなかったわけでしょう。 

清水:そうだね。 

貴水:そういう意味でも、とても新鮮に感じたんですよ。で、ふと思ったんだけど、等身大の恋愛ソングと、こういうガチなファイティングソング、どっちの方が好き?  

田中:私は、けっこうライダーよりの力強い曲が肌に合う気がしています。 

末永:こういったファイト系の曲は、強い意思を表現しないといけないから、レコーディングでも、ものすごくエネルギーを使うんですよね。もちろん、普段、私たちはアイドルとして可愛らしい歌を歌っていて、それはそれで楽しさがあるんですけど。 

貴水:それはどういう? 

末永:私自身は、自分の事を可愛らしい感じだとは思っていないので(笑)、歌うことで、そういう風になれるし、曲を聴いてファンの皆さんに「可愛いな」と思って貰えれば、自分にないものが表現できたみたいな気がして。それに比べると、ライダー系は、まるで自分自身を内側から削って歌っているような感じなんですよね。 

貴水:カッコイイねぇ。言ったねぇ! 

末永:(笑)。 

貴水:でも、確かに「Evolution」を聴いて、そういう部分を感じたんだよね。カッコイイし、実に逞しい。思わず! いや、別に付いて行かないからね!(笑)。 

田中&末永:(笑)。

ーーお二人は、こういったファイト系の曲を歌うのは、初めてですよね? 
末永:ええ。X21は括りとしては、アイドルグループなので。 

田中:これまでは全く歌う機会がありませんでした。 

末永:声の入れ方、感情の込め方、全てが「初めまして」みたいな。 

田中:全く表現が違うよね。 

清水:彼女たちは、普段はX21での活動があるわけだけど、『ビルド』の挿入歌である以上、X21にはないパフォーマンスや表現を盛り込んでいるからね。 

貴水:周りにはステキな曲をバンバン作ってくれるクリエイターがいて、そんな環境で歌うことができる。これは素直に羨ましいと思いますよ。

ーーその辺りも踏まえて「Evolution」のレコーディングについて、詳しくお聞かせいただければと思います。 
末永:「Evolution」には、悪の気持ちを前面に押し出した部分があり、さっき(※第2回)、悪の劇伴のお話がありましたが、今度は私たちが歌でそれを表現するというか。 

田中:ああ、確かに、確かに。 

末永:普段の活動では絶対にないので、そこになり切るのは本当に大変でした。ディレクションで「怪しく歌って」と言われたこともなかったので、「どうしたらできるのかな?」と。 

田中:普段の私たちの歌と比べると、「Evolution」は病んでいるかのよう(笑)。 

末永:特に難しかったのが前半の悪の雰囲気。でも、「エボルの大事なシーンで使われる」と聞いていたので、自分の中にある悪の部分を全力で出したつもりです。 

田中:感情の起伏がすごく激しい曲だよね。 

末永:先生方も仰っていましたが、前半と後半でテンションが違うんですよ。そこが苦労しました。 

田中:汗かきながら歌っていたよね。 

末永:ね(笑)。 

田中:もう、こんなにも体力を使うレコーディングは初めて。 

末永:でも、「Ready Go!!」以上のパフォーマンスを見せたい気持ちもあったし。 

田中:「Ready Go!!」は最初が明るくて最後が暗くなるんですけど、「Evolution」は真逆だから、感情の入れ方も全く違っていて、そこはひとつチャレンジでした。 

末永:色々と悩みつつのレコーディングでしたが、歌い方や語尾の切り方など、先生方からのアドバイスのおかげもあって、歌い切ることができたと思っています。

●さらなるパフォーマンスを目指して
ーー他にお二人から注目してほしいポイントはありますか? 
田中:イントロの声は、真唯がやってるんですよ。 

渡辺:フェイクですね。 

田中:はい。あれがカッコイイ! 

末永:ありがとう~。 

田中:ライブで歌う機会があったら、是非、ファンの皆さんにも聴いてもらいたいです! 

末永:あれはレコーディング中、「やってみる?」と振られて、一番最後に録ったんです。もし上手くできなかったら外します、ということだったのですが、上手くできたら、楽曲自体も映えると思ったし、「絶対上手く入れたい!」って。 

渡辺:普段の活動ではフェイクとかやる機会がないだろうから、最初はちょっと戸惑っていたけど、最終的にはちゃんと仕上げてくれました。 

末永:実は「Ready Go!!」のレコーディングでは、最後に「Ready Go!!」と歌うところが、自分的にはちょっと納得ができなくて、悔しい気持ちもあったんです。 

渡辺:ああ。自分なりにリベンジしたかったんですね。 

末永:はい。今回のフェイクは、使って貰えたということで、自分をちゃんと出すことができたと思うし、ひとつ自信にも繋がりました。 

田中:「Ready Go!!」に続いて、低音で歌うことは拘りました。そこはX21とは全く違う表現になりますね。 

末永:最後の一行……「君の心が求めるなら 手を伸ばせ」をソロで歌わせていただいたのですが、これがまた責任重大でした。「君」は楽曲を聴いている人を差しているので、本当に自分の心が動いてから手を伸ばす、その背中を押す感じをどれだけ伝えられるかなって。ここは自分でもワクワクする部分で、もちろん緊張もしたのですが、結果、自分としても、いい形で表現することができました。 

渡辺:コントロールルームから見ていて、気合が伝わってきましたよ。 

ats-:いや、二人とも頑張っていましたね。こちらが「もういいよ!」って思うくらい。 

貴水:やっぱりそれくらいでないとね。 

ats-:「まだやります」って。ホントに負けず嫌いというか(笑)。 

田中:ご迷惑おかけしました(苦笑)。 

ats-:もう全然折れない(笑)。いや、本当に頑張り屋だと思いましたよ。

末永:最後のほうでめっちゃ静かな感じで「Don't stop movin' on!!」と入るところも当日、言われたのですが、ここは力強さとは違う感じで、ある種、エボルの戦兔への気持ちみたいなニュアンスを感じたんです。そこは聴いてくれた方の心に響けばいいなと思っています。 

清水:挿入歌をX21とやることが決まった時点で、彼女たちのイメージやビジョンがありつつ、『ビルド』の歌である以上、現場から要求される部分との擦り合わせがあるわけでしょう。でも、そこで彼女たちは憶することなく、ひたむきな前向きさを感じたんですね。それはあくまで「いい歌を歌いたい」というクリエイティブな取り組み方であり、そんな彼女たちと組むことができて、僕自身も嬉しかったですね。 

田中&末永:こちらこそ、ありがとうございました!

貴水:今、みんなの話を聞いていて、自分が「Ready Go!!」や「Evolution」の何に惹かれ、その男性にも負けないスピリチュアルな部分がどうして生まれたのかが気になっていたんだけど、「なるほど」と思いましたね。いやぁ、こういう形でのコラボレーションも実に面白いね。また次回作で、さらに上回るパフォーマンスを実現し、聞かせてもらいたいですね。 

ats-:さっき(※第1回)、貴水さんからアドリブの話があったけど、お芝居だけでなく、レコーディングでも「こういうアイディアがあります」とシンガーから出てくると、僕らとしてはもっともっと嬉しいよね。 

清水:それこそ、こっちが狼狽えてしまうくらいのを是非(笑)。 

ats-:それも頭で考えることじゃなくて、実際にやっている中で生まれることをね。 

田中&末永:頑張ります! 
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