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「YouTubeの視聴数に応じた著作権料の支払いシステム」で話題のNexTone社に、現役ミュージシャン社長の“海保けんたろー”がぶっちゃけ質問をしてきた

こんにちは。海保けんたろーです。現役ミュージシャンです。
ネットの急速な普及によって、直接的にも間接的にも音楽に触れる機会が増える昨今ですが、著作権の在り方についてはいろいろと……アレですよね。

 

そんな中、「YouTubeの視聴数に応じて著作権料を支払い--NexToneが開始」というニュースが飛び込んできました。
(参考:CNET https://japan.cnet.com/article/35106809/

居ても立っても居られない僕は、気づいたらNexTone社の会議室で知らない人と向き合っていました。


※(写真左)株式会社NexTone 執行役員 伊藤圭介氏

伊藤)……。



伊藤)……。



―海保)(え? 怖い!?)



―海保)本日は、よろしくお願いします。



伊藤)(ニコッ)よろしくお願いします。



―海保)(……いい人だった!!)


そもそもNexTone社って?

―海保) まずは基本的なところからになりますが、NexToneの現在の業務内容を教えてください。
 
伊藤) 基本的にはJASRACと同じ著作権管理業務が中心です。お預けいただいた楽曲の使用料を回収してきて、権利者様にお戻しするという内容ですね。


参照:http://www.nex-tone.co.jp/categories.html

―海保) NexToneは他の業務も展開されていますよね?
 
伊藤)そうですね。コンテンツアグリゲーターなどもやってます。各社のダウンロード販売サービスやストリーミングサービスに音源を提供して販売する流通業務です。
そこで音源(原盤)もお預かりしているので、YouTubeのContent ID(コンテンツ アイディー)登録代行などもやっています。


参照:http://www.nex-tone.co.jp/business_support.html


その他にも映画などの主題歌のキャスティングをやったり、ライブビューイングの配給もやったりしてます。


参照:http://www.nex-tone.co.jp/business_support.html

―海保) JASRACよりもかなり手広く事業展開されているんですね。
 
伊藤) はい。民間の株式会社なので、著作権を管理するだけではなく、楽曲の利用活性化のお手伝いをすることによって、楽曲がより使われて、結果クリエイターの皆様に使用料を還元できるような事業もどんどんやっていこうというスタンスです。


YouTubeの視聴数に応じて著作権料の支払いをする取組み



―海保)今回発表されたのも、そんなさまざまな取り組みのうちのひとつということですね。
 
伊藤) そうですね。NexToneがYouTubeに提供する作品情報に基づいて、YouTube がシステム照合を行う「データエクスチェンジ」のプロセスが入ることにより、権利者の皆様に精度高く分配ができるようになります。精度の高いデータに基づいて、NexToneが権利者の皆様に視聴回数など透明性のある条件に基づいて分配ができるようになったというわけなんですね。



―海保)そもそもContent IDという概念を知らない方が多いと思うので、その仕組みを説明していただけませんか?
 
伊藤)Content IDは、著作権者が自分の所有するコンテンツを含む動画を、YouTube上で簡単に識別して管理できるシステムのことです。YouTube にアップロードされた動画は、コンテンツ所有者が提出したファイルのデータベースに照合され、スキャンされます。一致するコンテンツが見つかると、YouTube は著作権者の希望するポリシーを適用します。なお、YouTube は一定の基準を満たすコンテンツ所有者のみに Content IDの利用資格を付与しています。 
 
―海保)Content IDを登録しておくメリットは、どんな点でしょうか?
 
伊藤)コンテンツ所有者は、自分の Content IDと一致するコンテンツにどのような対応策をとるか選択することができます。1つ目は、閲覧できないよう動画全体をブロックする。2つ目は、動画に広告を表示させて動画を収益化し、場合によってはアップロードしたユーザーと収益を分配する。3つ目は、その動画の再生に関する統計情報を追跡する、というものです。
 
―海保)Content IDを登録することによって、他の人がアップした動画が、自分の収益にもつながるっていうのは、大きいですよね。
 
伊藤)そう思います。Content IDの運用が始まって数年がたちますが、YouTubeが国民的なプラットフォームになり、ここ数年でコンテンツホルダーの意識が“違法排除”から“共存・マネタイズ”の方向に移り変わってきたことが、今回の取り組みの背景にあります。また、今回の取り組みによって、原盤がそのまま使用されていないケースもNexToneでは、より精度高く権利者に分配することができるようになりました。

―海保)それはすごいですね!
 

NexToneのモットーは時代に柔軟に対応し「透明性高く、公正・公平に徴収・分配する」こと
 
―海保) 今回の取り組みが始まるまでは、どうやって分配していたんですか?



伊藤) そもそも、どの動画にどの楽曲が利用されているかの把握も難しい状況にあったため、他の類似サイトなどから取れるデータを出来る限り集約し、推計して分配するしかなかったので、そうしていました。
 
―海保)それが今回、正確な回数に基づいて分配できるようになったということですね。かなり作業量としては大変な気がしますが、NexToneは業務のITシステム化も進んでますよね。
 
伊藤)はい。システムについては外注せずに、グループ内で開発しています。
 
―海保) なるほど、それはスピード感のある開発ができそうです。
 
伊藤)そこが我々の強みでもあると思ってます。著作権のシステムってマニアックなので、一般のシステム開発会社に委託すると、コスト・スピード・クオリティともに厳しいものがあって、ノウハウも貯まらないですし、結局内部で作るのが好ましいということで、今の体制になりました。
そのノウハウを生かして、音楽出版社様向けの管理システムの開発や業務支援サービスなども行っていますので、色々と便利に使っていただけるかと思います。



―海保)NexToneは今、管理楽曲をどんどん増やしたいという感じですか? 例えば今は無名の駆け出しアーティストの楽曲なども取り扱っていただけるのでしょうか?
 
伊藤)もちろんです。未来の音楽業界を支えるのはそういった方々だと思いますので、ぜひご利用いただければと思います。
 
―海保)なるほど。ではこの記事を読んで「ぜひ自分の曲をNexToneに預けたい」と思ったアーティストがいたら、どうすればいいですかね?
 
伊藤)現状は法人契約中心となっておりますので、基本的にはどこかの音楽出版社様を経由してご利用いただくのがスムーズかと思います。もしそういうツテがないということでしたら、我々の100%子会社でMCJPという音楽出版社もありますので、そちらにご連絡ください。
 
―海保)例えばアーティスト自身が法人を持っていれば、NexToneと出版社として契約できるんですか?
 
伊藤)はい。定款の目的に著作権管理に関する文言が記載されているかとか、作詞・作曲家の方々とちゃんと著作権譲渡契約を結んでいるかとか、最低限の条件・確認事項はありますけど、基本的には可能です。
 
―海保)なるほど、ありがとうございます。そういうオープンなスタンスからも、透明性や公平性に対する思想が感じられて、とてもいいですね。
それでは最後にNexToneの今後について聞かせてください。




伊藤)NexToneは「透明性高く、公正・公平に著作権使用料の徴収・分配を行う」というポリシーを持っています。楽曲利用者からできるだけ正確なデータをいただき、そのデータに極力手を入れずに分配するという基本原則に基づいて、最新のテクノロジーを積極的に活用しながら、より精度高く効率的な著作権管理業務にチャレンジしていきます。それと柔軟性も忘れずに、常に時代や状況に応じた対応を心掛けていきたいですね。
 
―海保)今日はありがとうございました!
 
伊藤)こちらこそ、ありがとうございました!



≪取材協力≫
株式会社 NexTone 執行役員 伊藤圭介氏

【株式会社 NexTone】
http://www.nex-tone.co.jp/
 
 
撮影:難波 宏

 
海保けんたろー

海保けんたろー

ドラマー / 株式会社ワールドスケープ代表取締役
高校入学とともにドラムを始め、22歳からプロとしての活動を開始。「キマグレン」「ハシグチカナデリヤ」「SONALIO」など数々のアーティストのドラマーとして活躍する。
2011年には、音楽業界を変革するためのIT企業・株式会社ワールドスケープを設立。音楽活動支援サービス「Frekul」などの開発運営を行っている。
ボードゲーム好き。将来の夢は英雄。
Twitter:http://twitter.com/kentaro_kaiho