COLUMNコラム

アーティスト
DAVE RODGERS × MOTSU

【DAVE RODGERS × MOTSU対談】ユーロビートは新たに生まれた音楽!!

2023.12.22
アーティスト
話題
音楽
インタビュー
12月20日、『EUROBEAT KINGS feat. MOTSU』をリリースしたDAVE RODGERSさん。タイトルにあるように、長年の盟友でもあるMOTSUさんとコラボした夢の作品となっています。彼らの歴史を語る上で欠かせない『頭文字D』『MFゴースト』のファンにも見逃せないこの作品について、お2人に語っていただきました!
 
 
「『頭文字D』『MFゴースト』を愛してくれる人たちのために、全ての要素を注ぎ込んだんだ」
 

 
──お2人でご登場いただくのは初めてになりますが、そもそもの交流はいつ頃からのことでしょう?
 
DAVE もう長いよね。80年代後半ぐらいからかな? 確かジュリアナ東京あたりが最初だっけ?
 
MOTSU まあ僕は高校生ぐらいの頃からあなたを知ってますけどね(笑)。
 
DAVE お~、それは「ディスコ」で?
 
MOTSU そうそう。その頃から聴いてたよ。
 
──では最初から、MOTSUさんにとっては憧れのスターだったわけですね。DAVEさんにとってMOTSUさんとの最初は?
 
DAVE 確か……MOTSUの曲をいくつかリミックスするという形のコラボだったよね。
 
MOTSU そう! 「around the world」とかね。それで、90年代前半には東京ドームでのコンサートに一緒に出て。1994年かな。「avex rave '94 ~LIVE in TOKYO DOME」というイベントがあって、その楽屋でも会ったよね。
 
DAVE すごくすごくすごくすごくいい歌手でアーティストだなと思ったね。リズム感がよくて。それと、すごくすごくすごくすごくいい俳優だなと(笑)。
 
MOTSU ハハハハハ!
 
DAVE そこからお互いをよく知り合っていくにつれて、いいバイブスを感じたんだ。
 
──それから長い年月、友人として、また仕事仲間として交流されてこられたわけですが、お互いにアーティストとして魅力を感じる部分とは?
 


MOTSU 彼と仕事して驚いたのは、誰よりも仕事が早いんですよ。僕は、世の中で一番仕事は早い人間は自分だと思ってたんですけど、彼は僕よりも2倍ぐらい早くて。ダイナモみたいに物事を引っ張っていく力があるんですよ。「ああ、これが“帝王”たる秘訣か! だから第一線で長く続けられているのか」と思いましたね。今もその気持ちは変わらないですね。
 
DAVE 今回、一緒に曲を作った時にも感じたんだけど、彼は本当にパワフルなんだ。出来上がった曲に彼なりのペッパーを振りかけて、曲をより強烈なテイストにしてくれる。2人の関係性の中にあるセンセーショナルなフィーリングとか、お互いの感情の行き来が、オーディエンスにも伝わってるんじゃないかな。
 
──12月20日にお2人の共演作『EUROBEAT KINGS』がリリースされます。1曲目の「FLASH INTO THE NIGHT feat. MOTSU」はついにお2人の初共作オリジナル曲となったわけですが、この曲のモチーフやテーマはどういうものでしょうか?

 

DAVE 『頭文字D』や『MFゴースト』という作品の世界を愛してくれる人たち、特に若い人たちのために、作品の世界観を構成するいろんな要素を全て注ぎ込んだんだ。それこそ「藤原とうふ店」や「秋名スピードスターズ」とか、作品内に登場するものを含めてね。
 
──この曲はどんな制作過程を経て出来上がったんでしょうか?
 
MOTSU 基本的にはDAVEがトラックを作って送ってくれて、それに僕が、自分のパートに関して「こんなのはどう?」ってアイデアを提案するという形だったよね。
 
DAVE そうだね。キャッチボールのようにやりとりをして、曲が出来上がっていったんだ。
 
MOTSU コーラスの部分は確か2パターン用意されていて、2人でテイストを探っていったりもしたよね。2人とも年だから記憶が曖昧だけど(笑)。
 
DAVE 確かに!(笑)
 
──長い交流があった上で、このタイミングで初オリジナルができたということについての思いはどういうものですか?
 
DAVE ここでオリジナル曲を作って発表できたというのは、2人がこれからやっていくプロジェクトのためにもいい方向に向かってると思うよ。曲を聴いてくれる人たち、ライブに来てくれる人たちをよりハッピーにすることができたと思うよ。
 
MOTSU それに、僕らにはもっといろんなことができるということを示せたよね。
 
DAVE そのうち、このプロジェクトにちゃんとした名前をつけたいんだ。今の「DAVE RODGERS feat. MOTSU」みたいな形じゃなくてね。
 
MOTSU それはいいね。



──この曲のMVが、またすごくいいですね。TVゲーム風の画面で楽曲のテーマとスピード感が表現されていて。
 
MOTSU 「ゲーム風」じゃなくて、アレは本当にゲームなんですよ!
 
──えっ、そうなんですか?
 
MOTSU アレのために、ゲームの仕組みから作ってるんです。この後、独立したゲームとしてリリースできたらと思ってるんです。そういう作業もあったから時間がかかって、この制作のために40日間寝てなかったですからね!
 
──それは死ぬと思います(笑)。
 
MOTSU まあ寝たんだけど(笑)、でもすごく時間をかけてましたよ。これを機に映像クリエイターになるんで、映像のお仕事があったらぜひ(笑)。
 

 
「ユーロビートは終わらない。今、世界では『新たな音楽』として楽しまれているんだ」
 

 
──さて、2曲目の「Gamble Rumble feat. MOTSU」はもともとm.o.v.eの楽曲で、『頭文字D』の代名詞的な主題歌として知られたものですね。MOTSUさんにとって、この曲への思いは深いのでは?
 
MOTSU やっぱり特別な曲ですね。それをDAVEが「あの曲、やらない?」って言ってくれたんです。無上の喜びというか、「それはいいですなあ~!」と思いました。新宿のディスコで遊んでてよかったなあって(笑)。
 
DAVE この曲はファンにとって象徴的なものだよね。アニメの主題歌だったこともあって、日本のファンはこの曲をよく知り、愛してくれている。僕らはこの曲に新しい命を吹き込みたかった。2人の声で新鮮な要素を足すことは、非常に意味のあることだと思ってるよ。
 
──カバーの場合、ファンが原曲に持っているイメージと、新しい要素のバランスが大事になってくると思います。この曲についてはそこをどう考えたのでしょうか?
 
DAVE 今回は「Gamble Rumble」や「SPACE BOY」を2人でカバーすることで、曲自体に違った角度からの光を当てるとともに、私の音楽のファンにも、新たな自分を見てもらいたかったんだ。
 

──「SPACE BOY feat. MOTSU」に関しては、オリジナル・ヴァージョンよりもかなりパワーアップした印象を受けました。
 
DAVE 他人の曲にせよ自分の曲にせよ、既存の曲を作り直すということは、原曲よりもいいものにしなければ意味がないから大変ではあるよね。「SPACE BOY feat. MOTSU」については、特にラップの部分に新しい要素が加わっていて、それがパワフルな印象を出したんだと思う。それがオーディエンスにも伝わるといいなと思っている。我々にできることは曲を作ることまでで、そこに何かを感じてテンションを作っていくのはオーディエンスの役目だからね。今回は我々2人のエモーションが曲に盛り込まれているので、聴いてくれる人たちがそのエモーションを受け取って、さらに何かを感じてくれればいいなと思って作ったんだ。
 
MOTSU さっきDAVEが「違う角度から光を当てる」と言ってましたけど、それは本当に重要だなと思うんですよね。カバーで原曲を変える理由が何かということを、オーディエンスにポジティブに受け取ってもらうというのが一番重要だなと。毎回、カバーを作る時は「原曲を好きな人がどう感じるか」を一番に考えるんです。どうやったら、そういう人たちが「面白いじゃん!」って言ってくれるかなと。何%かの人は、絶対に「いや、原曲の方がいいよ」って言うんですよね。これはカバーの宿命なんです。それはもちろんあるんだけど、でも一方で「これはいいね! ウヒャヒャヒャヒャ!」って喜んでくれる人もいるはずだし、そうなるようにしないといけない。今回の2曲も、そういう考えでやってましたね。ひと言で言うと「ノリノリ!」でやってたんですけど(笑)。
 
──ところでDAVEさんは『頭文字D』や『MFゴースト』といった作品自体にはどういう印象を持たれているんでしょうか?
 


DAVE 「SPACE BOY」や「BEAT OF THE RISING SUN」など、僕の曲のいくつかが『頭文字D』のアニメに使われたのがきっかけだったよね。アニメの断片的な映像を見た程度なんだけど……面白いよね。続編の『MFゴースト』にもぜひ曲を使ってもらいたいし、MOTSUと何かやれば実現するのかな?(笑)
 
MOTSU 僕は『頭文字D』に関しては原作漫画からずっと読んでいたので、アニメになると聞いた時は「マジか~!」と思いましたよ。しかもそこに自分たちの曲が使われることになって、試写でオープニングを見た時には鳥肌が立ちました。
 
──DAVEさん自身、車好きとお聞きしています。今は何に乗っているんですか?
 
DAVE 今乗ってる車のこと? それとも、これまでで人生で乗った車を全部紹介しようか?(笑) 今はポルシェかな。
 
MOTSU 今までのベストは何?
 
DAVE レンジローバーだね。15年前ぐらいに乗ってたんだけど、リビングルームみたいな感覚で乗れてお気に入りだったよ。あとMAZDAの車もよかったね。まあちょっと年取っちゃって、ポルシェが似合わなくなってきてるかなと思うんだけど(笑)。
 
──そんなことはないと思いますよ(笑)。お好きなのはイタリア車じゃないんですか?
 
DAVE フェラーリとかも乗ってたよ。まあどっちかというとポルシェの方が好きだな。
 
MOTSU すごいな(笑)。僕は誰も気付かないような普通~の車に乗ってますからね。以前は長いこと、すっごい古い型のプレジデントに乗ってたんだけど、それが壊れて、「エアコンが効く車にしてちょうだい!」って言われて(笑)。
 
──さて、今作の『EUROBEAT KINGS』というタイトルはすごく象徴的だと思うんですが、このタイトルに込められた思いを教えてください。
 


DAVE 今回の作品で一番大事なことは、オーディエンスの人たちに感謝の気持ちを述べたいということだったんだ。日本のオーディエンスは僕の活動にとってもものすごく大事な存在だし、あとはエイベックスにもすごく感謝している。音楽を作って表現する機会を与えてくれているからね。もちろん、MOTSUにもすごく感謝している。『EUROBEAT KINGS』というタイトルは「俺たちが王様だ!」とふんぞり返ってるわけじゃなくて、そうしたみんなへの感謝を込めたものなんだ。
 
MOTSU 「SPACE BOY feat. MOTSU」で今回足したラップの歌詞に、「永遠の生命体 Titanium 声帯 席ゆずる気なんかない/いらっしゃい Anybody チャレンジ いつも Welcome」という部分があるんですよ。オッサン2人で「かかってこれるもんならかかってきんしゃい!」いたいな、そんな感じを楽しんでもらえたらいいなと思いますね。
 
──これは失礼を承知でお聞きするんですが……長く続いているユーロビートというジャンルに対して、「過去のもの」「歴史の中のジャンル」と思っている人もいます。その中で、それこそ「EUROBEAT KING」として長く活躍されているDAVEさんにはどういう思いがありますか?
 
DAVE そういう風にいる人もいるとは思うけど、僕自身、全く過去のものだとは思っていないからね。5年前には、そういう空気もあったのは確かだ。だけど今は、例えばSpotifyでの僕のリスナーは増え続けている。
 
MOTSU 確かに、5年ぐらい前は「終わってる」なんて言われたこともありましたけど、そこからキテるなという感じがすごくあって。彼も同じ考えで、でも「終わる」というのは、実は音楽にとってはいいことなんですよ。また始まることができるわけだから。今は多くの人が「終わってる。だから面白いんじゃん」と、ある意味イジって聴いてるところがあって、それがまた面白いんだと思うんですよ。
 


DAVE 僕のSpotifyリスナーは、5年前には4万人程度だったけど、今は50万人に増えている。もちろん、その一部は『頭文字D』で僕を知ってくれた人、『MFゴースト』で新たに知ってくれた人たちのおかげでもある。それに今、特にヨーロッパをはじめとした世界中の多くの国で、ユーロビートは新たな音楽として楽しまれているんだ。「リバイバル」じゃなくて、「新たに生まれた音楽」としてね。こういう現象がある限り、ユーロビートはずっと続いていくと思う。
 
──では最後に、日本のファンにメッセージをいただけますか?
 
DAVE 今言えるのは、オーディエンスの人たちが期待することが、これから起きるという、ただそれだけだ。だから楽しみにしていてほしい。
 
MOTSU 制限速度を守った上で(笑)、アクセルを全開にしてほしいですね。僕も必死についていきますんで。
 
──法令遵守での爆走を楽しみにしています!(笑) ありがとうございました!
 


 
撮影 長谷英史




コラボアルバム
『EUROBEAT KINGS feat. MOTSU』
2023.12.20 ON SALE

 

<CD収録内容>
M1. DAVE RODGERS「FLASH INTO THE NIGHT feat. MOTSU」
M2. DAVE RODGERS「Gamble Rumble feat. MOTSU」
M3. DAVE RODGERS「SPACE BOY feat. MOTSU」
M4. DAVE RODGERS「FLASH INTO THE NIGHT feat. MOTSU」 (Instrumental)
M5. DAVE RODGERS「Gamble Rumble feat. MOTSU」 (Instrumental)
M6. DAVE RODGERS「SPACE BOY feat. MOTSU」 (Instrumental)
M7. DAVE RODGERS「Gamble Rumble feat. MOTSU」 (Extended ver.)
M8. DAVE RODGERS「SPACE BOY feat. MOTSU」 (Extended ver.)

AVCD-63541 ¥2,000+tax

=================================
■DAVE RODGERS「FLASH INTO THE NIGHT feat. MOTSU」
※YouTube:https://youtu.be/ourEp0JAVk4

■DAVE RODGERS『SPACE BOY feat. MOTSU』
※YouTube : https://youtu.be/3phhdxzCqzg

■DAVE RODGERS『Gamble Rumble feat. MOTSU』
※YouTube : https://youtu.be/-zu5KOWemAw
=================================
■オリジナルバージョンのDAVE RODGERS『SPACE BOY』
※配信URL : https://va.lnk.to/nII98
※YouTube : https://www.youtube.com/watch?v=nvUTNX0FDPA

■オリジナルバージョンのm.o.v.e『Gamble Rumble』
※配信URL : https://avex.lnk.to/GambleRumble
※YouTube: https://www.youtube.com/watch?v=KhTxlm4REQc
=================================

【DAVE RODGERSプロフィール】
-THE KING OF EUROBEAT-
日本のファンからはユーロビート界の“帝王”と呼ばれる、ユーロビートの第一人者!
avexの原点、「SUPER EUROBEAT」シリーズに数多くのユーロビート楽曲を提供し、さらにTM NETWORK、安室奈美恵、V6など多くのJ-POPアーティストに楽曲提供・プロデュース!
また、アニメ「頭文字D」の劇中歌として「SPACE BOY」「BEAT OF THE RISING SUN」「DEJA VU」など自身が歌唱したユーロビート楽曲が多く使用され、アニメファン・車ファンだけにとどまらず、ネットミームをはじめ世界中から広く支持されている!

【MOTSUプロフィール】
22才で渡米、ラップとダンスを独学で学び、DANCE MUSIC ユニット“MORE DEEP” のリーダーとしてデビュー。以来、m.o.v.e 、ALTIMA、motsu×DJ KAYAなど、水面下のものも含め複数のプロジェクトを立ち上げ・参画し、日本の音楽シーンの第一線で活躍してきた。さらには他のアーティストに先駆けて積極的に海外展開を行い、10ヵ国以上で数多くの海外公演で成功を収めているキーパーソンである。
日本の RAP/DANCE MUSIC 創生期から培ってきた、ジャンルや、国境の枠までをも超えてオーディエンスを盛り上げるパフォーマンススキルと独特のサウンド/リリックメイキング、センスは間違いなく日本において唯一無二であり、その勢いはまだまだ拡大中である。



【DAVE RODGERS WEBSITE】
https://www.daverodgers.it/

【DAVE RODGERS X】
https://twitter.com/daverodgers2020

【DAVE RODGERS Facebook】
https://www.facebook.com/thedaverodgers



【MOTSU WEBSITE】
https://avex.jp/motsu/

【MOTSU X】
https://twitter.com/Motsu_MC

【MOTSU YouTube】
https://www.youtube.com/c/GhettoBlastaMotsu

【MOTSU Instagram】
https://www.instagram.com/motsumc/

【MOTSU TikTok】
https://www.tiktok.com/@motsumc

 
高崎計三
WRITTEN BY高崎計三
1970年2月20日、福岡県生まれ。ベースボール・マガジン社、まんだらけを経て2002年より有限会社ソリタリオ代表。編集&ライター。仕事も音楽の趣味も雑食。著書に『蹴りたがる女子』『プロレス そのとき、時代が動いた』(ともに実業之日本社)。

もどる