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夢中病(feat. Lezel)

【SUIREN × Lezel スペシャル対談】 コラボ楽曲でなければ生まれなかった1曲

2023.07.10
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7月12日にニューシングル「夢中病(feat. Lezel)」をリリースするSUIREN。タイトルにある通り、今回はアニメ『パリピ孔明』で歌唱キャストに抜擢されて話題のバーチャルアーティスト Lezelさんをフィーチャーし、Suiさんとのツインボーカルが展開されています。打ち込みによりループ感が強調されたサウンド、キャッチーなメロディに「何かに夢中になる」様を描いた歌詞が、中毒性の高さを醸し出している「ヤミツキ」な1曲。SuiさんとRenさん、そしてLezelさんの3名に、コラボ実現のいきさつや楽曲のことなどについて伺いました!
 

「なんとなくバカなフリして『一緒にやりませんか』って言ってみよう(笑)」(Sui)




──今回のコラボは、そもそもどこから出発したものだったんでしょうか?
 
Sui 僕がSNSで、「黎-ray」のカバー動画を見つけたのが最初のきっかけでした。その動画の歌声を聴いた時に聴き覚えのある声で、たまたまその頃に『パリピ孔明』を観ていたんです。それで直ぐに「久遠七海」の歌声だと気付いて、恐る恐る僕がLezelさんにリプライを飛ばしたら返事が来て、そこから交流が始まりました。
とはいえ、その時は1~2通メッセージで挨拶程度のやりとりをしただけなんですけど、その後僕がTwitterでスペース配信をしているのを聴きにきてくれたんですね。ダメ元で「一緒に喋りませんか?」とその場で声をかけたら(Twitterスペースに)参加してくれて、ラジオみたいな感じで配信上で色々話して。

 
Lezel Suiさんがツイッターのスペースをやってるなあと思って、何の気なしに入ったらすぐバレて(笑)。スピーカー(発言者側)に上げられて、「コラボとかライブとか、できるんだったら何かやりませんか」っていう話になったんですね。

Sui なんとなくバカなフリして、この場で「何か一緒にやりませんか?」って、言ってみようと思って(笑)。
 
Lezel 「何かやりたい」という気持ちは一緒でした!でも「何をやるか、どうするか」は私の一存じゃ決められないから、もし本当にやるならレーベルを通してくださいって言ったら、本当に来ちゃった、っていう(笑)。

──来ちゃった(笑)。お互いの思惑が(笑)。
 
Lezel 社交辞令じゃなかったんだ、って。期待しすぎても……というのはあるじゃないですか。
 
──ああ、なるほど。じゃあ、改めて正式に話が来た時に、うれしさを感じたわけですね。
 
Lezel ガチだった!って(笑)。Suiさん独断でもダメだし、ちゃんとSUIRENさんとして、スタッフの方も交えてOK、という話だったんだなあって。
 
──SuiさんはLezelさんの歌声や歌唱について、どういう印象でしたか?
 
Sui いい意味で攻撃的でエッジがあって、パワフルな歌声だなと思いました。この表現が正しいかは分からないですけど、破壊力があるというか、予定調和をぶっ壊してくれる表現力というか。
 
──「夢中病」の歌詞のアイデアはどこから出たものでしょう?
 
Sui Ren君と話している時に、「何かに盲目的に熱中している様」をテーマに制作していくのはどうか?という提案があって。その後、曲の元案がRen君から上がってきて、サビの最後の部分のメロディーを聴いた時にすぐ、「滅茶無茶苦茶に夢中して」というフレーズが浮かんできて。そこから膨らませていきましたね。
 
──作詞の過程で、Lezelさんを意識した部分は?
 
Sui Lezelさんの声のキャラクターをリスペクトしたものになるように意識した部分はかなりあります。破天荒というかカオスな世界観というか。また、「男女で歌う」という部分も意識しました。
「滅茶無茶苦茶に夢中して」が「滅茶無茶苦茶にチューして」に聴こえませんか?(笑)。それも面白いなと思って。
 
──作曲・サウンド面においては?
 


Ren 作編曲においてはLezelさんをフィーチャーした楽曲であることが大きく影響しており、むしろそのために書いた1曲になっています。Lezelさんの他の楽曲や、配信などでの話し声などを聞いて、こんな楽曲にしたら面白いかな、とかこんな楽曲だったらまた新たなLezelさんの一面をLezelさんのファンの方々にも楽しんでいただけるかな、などといろいろ考えて制作しました。なので、むしろLezelさんとのコラボ楽曲でなければ生まれなかった1曲という感じですね。
 
──打ち込みがかなりフィーチャーされていますよね。
 
Ren リズムを打ち込みにすることによって、無機質でありながら整合性の取れたサウンドを目指しました。そこに人間味やパワーのあるギター&ベースを加えることにより、いい意味でのちぐはぐ感を楽しんでいただけたらな、と思ってます。
 
──Lezelさんは、最初に曲を聴いた時にはどう思いましたか?
 
Lezel 最初は歌詞が入ってない状態で届いたので、「なるほど~!こんな感じの曲なんだ~!」と思ってたんです。そこからだんだんパーツが組み合わさっていって、レコーディング時に2人の歌が合わさった時に「あ、こういうことだったんだ」って理解したというか。やっぱりMIDIのデータとか仮歌の段階だと、ここに自分の歌をどういう風に乗せたいと思っているのか、想像がつかなくて。揃ってみてやっと分かった感じでした。


「私の曲にはない色っぽさが、この曲にはある。SUIRENさんとの曲としてなら『アリ』かなと」(Lezel)




──Suiさんとのツインボーカルですが、どのように臨みましたか?
 
Lezel Renさんからは「強めに歌ってください」というディレクションをいただいたんです。最初は「寄せた方がいいのかな」と思ってたんですけど、「キン!ってしてた方が、逆にいい。そうしてほしい」と言われて、「そっちなんだ!」ってなって、実際にレコーディング現場で作っていった感じでしたね。
 
Sui 実はディレクションしながら少し悩んだことがあって。その時にLezelさんのスタッフの方が「治安悪く歌って」とか「赤ちゃんっぽく」とか独特な表現で伝えてくれて、結果思った感じになったんです。ディレクションって奥深いなって、勉強になりました(笑)。
 
──実際に歌で絡んでみて、どうでしたか?
 
Lezel カッコいい感じになったなと思います。私が先にある程度レコーディングして、その後でSuiさんが歌ったので、そこで「あ、こういう風になるんだ」と。おふたりの中では何となく想像してたかもしれないですけど、私の中ではあまり完成形が想像できてなかったのもあって、そこで「あ、なるほど!」と理解できた感じでした。
 
Sui ボーカリストとしては真逆なタイプだと思っているんですけど、それが作品の中で交わってコントラストになって、化学反応を生むんじゃないかなと思ってましたね。そこはうまくいったと思います。
 
Lezel レコーディング中もわりと手探りだったりしたんですね。「どの部分も、わりと強めに歌って」と言われたりもしたので、事前に自分の中の想像で作り上げてなくてよかったなとは思いました。
 
──Lezelさんとの作業はスムーズでしたか?
 
Sui かなりスムーズだったと思います! ハプニングといえばRen君が体調を崩してダウンした結果、Rec日が延期になった事くらいですかね(笑)。スケジュール変更にも、Lezelさんチームにはスムーズに対応していただいて感謝しています!
 
──作業を進める過程で新たに発見したことはありますか?
 


Sui 今回、SUIRENの中で曲と歌詞を完全に分業制にしたので、自分としてはリリックに完全に集中できたのはよかったです。またコラボ曲ということもあって、Lezelさんが歌うということを意識したことによって、今までの自分だったら出てこなかった語感が産まれたことが、新たな発見でしたね。作品に対してかなり俯瞰できたというか。
 
──Lezelさんにとっても、今回のコラボは刺激になったのでは?
 
Lezel そうですね。私の曲にも「ヤカラ感」みたいなものはあるし、「夢中病」にもそれはあると思うんですけど、同時に醸し出されてるちょっと色っぽいような感じは、私の曲にはない要素だと思います。そこで「あ、大人!」と思って、SUIRENさんの曲にフィーチャリングされてる時だったら、こういうのもアリだなと。自分の曲だと、もしかしたら「こういう表現方法は……」ってなってたかもしれないけど、SUIRENさんと一緒にやることによって「アリ」と思えた自分がいて、そこは大きな差だなと思いました。
 
──今回はカメラマンにきるけ。さん、MVプロデューサーにCOUNTER COLOR 横山学さんを起用した新ビジュアルを採用されています。その作業や仕上がりについてどのような印象ですか?
 
Sui (この取材時点で)MVはまだ観れていないので何とも言えないんですけど、今回SUIRENのビジュアルを刷新するにあたって、新たに出会ったカメラマンのきるけ。さんやSUIRENの新たなロゴを制作してくれたデザイナーさんも、もちろんMV監督の横山さんも全員が、「なぜ、この色で、この構図で、この光の反射の仕方で、この質感で……」っていうのを、作業を始める前に言語化する時間を大切にしてくれて。
 
例えばいろんな作品のレファレンスやイメージを伝える中で、SUIRENは、何を伝えたいのか・表現したいのか、ということをちゃんと聞いてくれる人たちで、そのスタンスとか考え方が「クリエイター」というよりも「アーティスト」だなと思って、一緒に仕事するのがすごく楽しかったし、自分たちがSUIRENで表現しようとしているものをより具現化するヒントをたくさんもらえた気がします。
 
──SUIRENさんとLezelさん、お互いのコラボは今後にもつながっていきそうですか?
 
Sui どうでしょう? Lezelさんが嫌じゃなければもちろんあり得ると思いますけど、こればかりは僕たちだけで決められないので……。
 
Lezel 今度は私の曲で、ってなるかもしれないし、SUIRENさんはリアルのライブもやられているので、じゃあそこで、ということになるかもしれないし……今は全く未知、という感じですけどね。今後どうなるか、楽しみにしてください。
 
──SUIRENさんの今後の予定を教えてください。
 
Sui Lezelさんとのコラボ楽曲を制作したり、ビジュアルを刷新する過程でより明確になった部分が確かにあって、ここからの下半期から来年の頭にかけてSUIRENというものをサウンド的にも視覚的にも言語的にも今の音楽シーンの中でどんな存在なのか、ということを明確に打ち出していきたいなと思ってます。
俺たちのスタンスとメッセージを道の真ん中にドンと置いておきたいというか。いろんな場所にたくさん置きにいくというよりは、1箇所に美しく壮大に設置して、道すがら通り過ぎていく人たちの目に止まった時に足を止めてくれる人をまずは増やしていきたい。そんなイメージです。
すでに新曲の制作も進んでいます。楽しみにしていていただけたら嬉しいです。

──ありがとうございました!



「夢中病 (feat. Lezel)」
2023.7.12 デジタルリリース



 
【Lezel OFFICIAL WEBSITE】
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【SUIREN Official HP】
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【SUIREN Twitter】
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高崎計三
WRITTEN BY高崎計三
1970年2月20日、福岡県生まれ。ベースボール・マガジン社、まんだらけを経て2002年より有限会社ソリタリオ代表。編集&ライター。仕事も音楽の趣味も雑食。著書に『蹴りたがる女子』『プロレス そのとき、時代が動いた』(ともに実業之日本社)。

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