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avex life design lab

和楽器の趣に触れる非日常体験をアナタに ~avex life design lab~

2015.10.21
話題
アーティスト
バンド
音楽
インタビュー
こんにちは。
肌寒くなってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。
 
今回のコラムは取材したてホヤホヤの記事をお届けします。
その取材先とは「avex life design lab(エイベックス・ライフデザインラボ)」
 
【avex life design lab エイベックス・ライフデザインラボ】
http://lifedesign-lab.avex.jp/
 
「avex life design lab」とは30歳~50歳代のオトナをコアターゲットとした学びの場として開設され、 各分野の第一線で活躍する講師をはじめ、エイベックスならではのアーティストやクリエイターなどの講座を行っているプロジェクトです。
 
 
この「avex life design lab」で、ある有名バンドのメンバーが講義を持つということで体験してきました。
 
そのバンドとは“和楽器バンド”( http://wagakkiband.jp/ )の箏奏者 いぶくろ聖志さんと、尺八奏者 神永大輔さんです!!
 
コラムの読者様ならばご存知の通り“和楽器バンド”は我々のコラムで初めて紹介したアーティスト( http://avexnet.jp/column_detail.php?id=1000001 )ですよね。
いやぁ、ご縁があります(笑)
 
では、さっそく体験レポートスタート!!!



いぶくろ聖志本人が教える「箏」
想像以上の難しさ、基本の大事さ



午前中のワークショップは、いぶくろ聖志さんが教える箏の講義。
講義のために青森から来た方もいらっしゃっており、その注目度が伺えます。
 
いぶくろ先生、開口一番は生徒の出席取りから(笑)さすがはエンターテイナー。
見事に「つかみ」を成功させてまずは座学を教えてゆきます。



今回は実際に箏を弾いて練習を行えるよう参加者16名全員に箏が用意されており、箏初体験の方は実物に心を踊らせていました。
【文化箏協賛:株式会社全音楽譜出版社(http://www.bunkagoto.jp/)】
 
用意されてたのは「文化箏」と言われる13本の弦がある箏。
 
気になるのは「箏」という漢字。
私を含めたゲーマーの方であればゲームに出てくる「こと」は「琴」の漢字が多く使われている印象だが、今回用意されているのは「箏」
 
この疑問をまずはいぶくろ先生がホワイトボードで説明。
「琴」というのは弦を抑えて音程を作る楽器で西洋楽器であればギターやバイオリン。それに対して「箏」は弦を抑えずに音を出す楽器で同じく西洋楽器であればグランドハープが近い楽器となるそうです。

もちろん、「箏」「琴」、どちらで書いても間違いではありません。
 
楽譜の読み方や箏の各部位の役割等、基礎をシッカリ教えると演奏指導へ。

ここでも重要な基礎知識として「綺麗な音の出し方」として2つの注意点を伝授。
(箏を抱えて見やすいように教えていただけるあたり、いぶくろ先生の優しさがにじみ出ています)


1)箏の右側に近いところで弦を鳴らすこと
2)指を曲げて引っかけるのではなく、弦にひっかけた指を手首ごと移動させて鳴らすこと
 
1)は真ん中で音を鳴らしてしまうとブレた音が出てしまうためで、
2)は同じ力で弾いているつもりが、確かに大きな音が出づらくなってしまいます。
 
2つの注意点とも、実際に箏で間違った弾き方で比べてみると納得。
箏が手元にあることで「綺麗な音」を出す意識の重要性が分かるのは非常に良い体験でした。
 
 
約45分が過ぎたところで、自主練習が開始。課題曲は「見上げてごらん夜の星を」
10小節程を練習するのですが、思った以上に苦戦。
 
 
楽譜を覚えて、リズム通りに弾こうとすると先程の注意点がおろそかになって、綺麗な音が出ない!!

すると、いぶくろ先生が察したかのように僕の横へ。



「指を引っかけて弾いてしまってますね。手首を移動させて弾くことを常に意識して下さい。」と近くで手を添えて指導。いぶくろ先生、優しい(笑)
 
ファンの方だったら、気絶してるかもしれませんね。

エイベックス・コラムの第1本目で紹介した和楽器バンドの「千本桜」ではいぶくろ先生は滑らかにソロを弾かれていますが…。



「見るとやるでは大違い」とはこのことで1弦1弦の音をシッカリと鳴らす意識をしていると、あそこまで早く滑らかに弾くのは大変!!
 
でも、こうやってシッカリ指導してもらえると、頑張れば自分にもできるんじゃないか希望が見えてくるから不思議です。
 
最後は16名で合奏を行って終了。
生徒の皆さんもほぼ楽曲を弾けるようになったようで、目を輝かせながら「箏って奥深くて、面白い」と仰っていました。



軽食付き懇親会では、生演奏も!??



今回は初めての講義ということで、お二人の講義の間に懇親会が設けられていました。
軽食とドリンクが付いており、講師のお二人が席を回ってお話に応じられたりと、これから和楽器を弾いてみようと考える生徒の方々にとっては至れり尽くせりな時間。

もちろん、いぶくろ先生と神永先生のセッションも披露。



ライヴと違ってマイクを通さない生音で聴けるのはかなり貴重!生の響きは本当に綺麗でした。




神永大輔本人が教える「尺八」
その歴史と音の深さ・バリエーションに感動!!




午後の講義は神永先生による尺八の講義。神永先生もいぶくろ先生に習って出席を取り、場を暖めます。
“和楽器バンド”のMVと違って、優しい笑顔の神永先生に生徒さんも表情が明るくなります。
 
が、生徒さんは配布された紙に目が奪われます…。私も目を奪われます…。



え、なにこれ…。ハングル文字みたいな文章です…。
これが楽譜なのだろうか。
 
そんな思いが生徒の皆さんに過ったことでしょう。
が、そんなことは露知らずと神永先生は尺八の歴史をまずは教えてくれました。
 
 
尺八の祖先と考えられている楽器は3万年前に使用された「ハゲワシの骨」を利用した縦笛で、ドイツ南部の洞窟で発見されたものなのだそうです。
 
それが進化し、日本に入ったのは7世紀。中国(当時は「唐」)からでした。
江戸時代には我々が時代劇で見る「虚無僧」が使用して今の尺八の原形が出来、明治以降には「お座敷」でも尺八が使用されるようになって現代に続くそうです。
 
ただし、楽譜に関しては西洋の影響が強く、実は先程我々を驚かせた楽譜も共通点が多くあったのです。
 
例えば、音階は5つの音(ロ、ツ、レ、チ、ハ)で構成されています。確かによく見ると、右の棒を無くせばカタカナとして読めます。
さらに、縦長の四角は1小節を表していて、4/4も4/4拍子であることを表しているということで、楽譜が縦書きで標記が少し変わっただけだったのです。

神永先生はこのあたりの説明を優しく教えてくれるので、学校で教わるような強制的な雰囲気はなく、一つ一つの物事に納得しめながら講義が進んでゆきます。
 
 
そして、最後は一番の難関である「音出し」です!!



生徒さんは10名と少数ですが、ほとんど尺八に触れたことがない方達ばかり。
 
管楽器は最初音が鳴らないことが多くて挫折する人も多いそうのですが、神永先生は生徒1人1人に吹く時の角度や息の出し方、意識のコツを丁寧に指導されていました。
 
ですが、練習を終えてビックリ。10名全員が音出しに成功!!
さらには、”和楽器バンド”の楽曲である「星月夜」のワンフレーズを生徒皆さんで演奏することまで出来ました。
 
たった1時間半で、ここまで成長すると思わなかった生徒さん達は一気に尺八の魅力にとりつかれたようで、講義終了後も神永先生への質問攻めをされていたのが印象的でした。



いぶくろ聖志さん、神永大輔さん 独占インタビュー



実は講師のいぶくろ先生と神永先生には事前インタビューを受けていただきました。
和楽器との出逢いや一流アーティストが一般の方に指導する意味、その想いをお聞きしました。

-まず、お二方が和楽器に出会ったキッカケを教えて下さい。
 
いぶくろ聖志)僕は元々エレキベースをやっていて、海外でエレキベースを演奏してみようと思ってたんです。
でも、その時「僕は日本人なんだから、日本の楽器を演奏出来ないと…。」と思い立って、16歳で「箏」に触れたのがキッカケですね。
 
神永大輔)僕はもっと遅くて大学のサークルで尺八と出会いました。
元々僕はピアノをやっていたんですけど、「音のうつろい」と言いますか、音と音との連続的な動きを表現する楽器に触れてみたいという想いがあったんです。
僕はゲーム音楽が大好きで、ゲームで尺八の音色に触れていたのもキッカケの一つかもしれませんね。
 
 
-海外で公演されたりしていますが、海外での反応はどうですか。
 
いぶくろ)琴ってシルクロードを渡って日本に入ってきているんです。だから、ルーツは同じはずなんですよね。
違和感なく「これが日本の楽器の音色か」と認識してくれますね。
 
神永)僕も近い感じを受けました。どこの国に行こうが、音楽には「普遍性」があるんだろうなと感じますね。
 
 
-「普遍性」ですか。
 
神永)国を通り越して、どんな人にも受け入れられる。そんな要素が音楽にはあると思っていて、それが日本人である僕らにとって和楽器だったんだと思います。
 
 
-なるほど。深いお話ですね。そんなお二方は今日の講義はどんな想いで引き受けられたのでしょうか。
 
いぶくろ)海外で演奏していると色んな方と現地の楽器でセッションすることがあって、海外ではスゴく楽器が生活に身近なんだなと実感したんです。
日本でももっと和楽器が身近になればいいな。そんなことを思って演奏していますし、今日もそんな想いが伝わればいいなと思っています。
 
神永)僕は良いものを知って欲しいって強く思っています。この講義をキッカケに和楽器の良さを心から知ってほしいと思っています。




-今までお二方は誰かに教えることはあったのでしょうか。
 
いぶくろ)友人に教えることなどはありましたが、どこかでレッスンを定期的に持つことはなかったですね。
 
神永)尺八は最初に音を出すのが非常に難しいんです。だから、僕もこういう形の講義をしたことはあまり経験がないですね。教えてほしいという方に個人レッスンする程度でした。
 
 
-ということは今日のレッスンは非常に貴重ですね(笑)
 
いぶくろ)僕たちもこういう機会を与えられて非常に嬉しいですね。
 
神永)そうですね。尺八って面白い楽器で、その人が出るんです。そういう意味でも生徒さんも自分を知るキッカケになると思います。
 
 
-どんな特徴が出るんですか?
 
神永)楽器を吹くという時は口をとがらせる人が多いんですけど、尺八はとがらせてしまうと上手く音が出ません。
口全体を使って吹きます。その時に笑顔をする筋肉を使うんです。
だから、笑い方が豪快というか大きい人はその筋肉が発達していて、尺八の素養があるんです。
反対に、口の片方だけをクってニヒルに笑う人もいますよね。そういう癖がついていると最初音が出づらいんです。
 
 
-面白いですね! 僕はMVを見ていて神永さんって、あまり笑わない方なんだと勝手に想像していましたが、スゴく笑顔が可愛らしいんですね(笑)

一同爆笑
 
いぶくろ)そうなんですよ。彼はよく笑うんですよ
 
神永)もちろん、意識している部分もありんですけどね(笑)
 
 
-先程、和楽器に触れるキッカケをお聞きしましたが、今日講義を受ける方にどんなことを知ってほしいですか。
 
いぶくろ)箏や尺八って「弾く楽器の選択肢」に入らないんです。
 
神永)そうそう。普通に音色は聞いたことをあるはずなんですけれど…。
 
 
-確かにギターやドラムを弾くのと違って、どこで誰に教えてもらえばいいのか分からなくて「やってみよう」という所まで行きませんね。
 
いぶくろ)そうなんです。今日のような講義で「和楽器を弾く」ということを身近に感じてほしい。さらに言うと「楽器の選択肢は本当に多くある」ということを知ってほしいですね。
 
神永)僕は大学から始めましたが、同じように大学から始めた方がプロになっている方が多いんですよ。
 
 
-そうだったんですか。親が奏者だった方が幼少期から練習されて、奏者になるイメージでした。
 
神永)確かにそういう人もいるんですけど、実はそうでもないんですよ。
面白い事例でいうと大学時代に尺八を演奏されていたけど、普通に就職して定年退職後にもう一度尺八を手にされて、奏者になる方もいるんです。
そういう意味では、大人の学びの場である「ライフデザインラボ」にピッタリな講義なんです。



-確かに、「エイベックス・ライフデザインラボ」の講義としてピッタリです!!
 
いぶくろ)仕事に追われている人も多いと思いますけど、今日がキッカケで「和楽器を手にして演奏」して新しい交流が生まれて刺激をもらったり、違った見方を知ったり、人生を豊かにしてくれると信じています。
 
-ここまでの想いを持って講義していただけるとは、今日のいらっしゃる生徒さんは幸せですね。
インタビュー、ありがとうございました。
 
いぶくろ、神永)ありがとうございました!!
 
 
“和楽器バンド”のMVではキリッと格好良いお二方ですが、インタビューも講義中も終始優しい笑顔で生徒さんと接されていたのがとても印象的でした。
お二方のこんな優しい笑顔を生で見られるのも「エイベックス・ライフデザインラボ」だけの特典かもしれませんね。
 
 
「エイベックス・ライフデザインラボ」では、今後も様々な企画をご用意していきます。
他の和楽器も企画中というウワサも…。
マメにWEBやFacebookをチェックしてみてくださいね。

【avex life design lab エイベックス・ライフデザインラボ】
http://lifedesign-lab.avex.jp/
https://www.facebook.com/avexlifedesignlab

【和楽器バンド Official Site】
http://wagakkiband.jp/
 
撮影・名鹿祥史
雜賀 信之助(サイカ シンノスケ)
WRITTEN BY雜賀 信之助(サイカ シンノスケ)
プロデューサー。PRイベントや映像制作、キュレーションサイト『和食ラボ』等の運営・進行管理を担当。
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